Consummatory Life

英米文学専攻の大学生が、もっぱら言語学、心理学、脳科学の話をテーマに、人間や社会について、感じたことを発信していきます。より良い人生を開発していくことを目指します。

「何かのため」に頑張るのではなく、「それ自体」を楽しむ!―内発性を大切に―

突然ですが、皆さんの趣味は何ですか?

 

ギター、サッカー、サイクリング、筋トレ、映画鑑賞、ショッピング、資格試験、、、

といったように、皆さんそれぞれ何かしら趣味があると思います。

ちなみに、僕の場合は、読書(といっても小説は読まないのですが)と、カラオケです。

 

ここで皆さんにお聞きしたいのが、「それらが「何のため」の趣味なのか」です。

大半の方は、「「何のためか」なんて聞かれても、そんなの知るかよ」と思ったはずです。

 

そうです、趣味とは「何かのため」にやるものではなく、「それ自体」を楽しむものです。

楽しいから、興味を持ってしまって、ついやってみたくなるものです。

 

ところが、世の中のビジネスマンには、「技術上有益だから仕事に役に立つ趣味を作る」ということがあるようです。本来、趣味とは「それ自体」を楽しむものであって、「お金を稼ぐのに役立つから始める」モノではないはずです。お金稼ぎという「目的」が介在している以上、残念ながら、それは趣味とは言いません。

 

ここでは「趣味」を例にとって話を進めているのですが、何も僕は、趣味論者で「趣味の在り方」についてどうこう言いたいのではありません。何が言いたいのかというと、「自発性」ではなく「内発性」こそが大切だということです。

 

「自発性」といえば、何かを進んでやるというポジティヴなイメージを持たれる方が多いと思いますが、これではまだ不完全です。何故かと言うと、「自発性」には、まだ「何かのために」という目的が残っているからです。ここには<損得勘定>の概念があります。得をするために何かをする、というのが「自発性」です。

例えば、「有名大学に合格する "ために" 勉強する」とか、「試験で単位をゲットする "ために" 教科書を読む」というのは、どちらも「目的」が残っているために「自発性」です。裏を返せば、受かりそうにない、試験で単位が取れそうにない、と分かった瞬間に勉強へのモチベーションは急激に低下してしまいます。

 

それに対して、「内発性」は「内から湧き出てくるもの」です。ここには、もはや目的が存在していません。強いて言うと、「それを行うこと」自体が目的だということです。ここには<損得勘定>の欠片もありません。損をしても得をしても、それ自体が楽しいから何かをするのが「内発性」です。社会学者の宮台真司さんは、「内発性」のことを、「理由のない利他性」という言い方をしています。 

「絶望の時代」の希望の恋愛学

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また、社会心理学には「達成性の動機づけ」コンサマトリー性の動機づけ」と呼ばれる概念があります。これらは、「自発性」と「内発性」の関係と似たような関係です。「達成性」は何かを成し遂げる "ために" 行うことで、<プロダクト志向(結果重視)>です。対する「コンサマトリー性」は、例えば、音楽を聴くとか、読書にふける、というふうに、それ自体を楽しむもので、<プロセス志向(過程重視)>です。

 

このように、本来の意味で、何かを楽しむためには、「内発性」=「コンサマトリー性」が不可欠であることが分かります。本当に楽しいことであれば、たとえ1人でやっても楽しい事です。そこには<損得勘定>もなければ、理由も目的もありません。それらは<プロセス志向>だからです。もし皆さんが、最近トライしていることで、「一生懸命やってるのに、何故か上手くいかない、継続しない」という経験をされているのであれば、一回立ち止まって息抜き程度でいいので、「私は本当に今のことを楽しめているのかな」と考えてみて下さい。

 

そして、もし今やっていることが、誰か他人の価値観によって決められた目的のためにやってるなと気づいたのなら、いっそのこと止めてしまいましょう!残念ながら、世の中にはやりたくなくても、やらなければならないことが山ほどあるのは事実です。しかし止めたところで他の人に大して影響しないことであれば、さっさと辞めてその時間をもっと大切なことに費やした方がいいと思います。 私たちの時間は有限です。しかも、その1/3は睡眠によって嫌でも削られていきます。

 

世の中に出回る、誤った価値観にしばられることが決して無きように、「内発性」と「コンサマトリー性」を大切に、これからの人生を過ごしていきたい―これが僕の考えです。

 

これはすなわち、自分自身の内なる力に耳を澄まし、自分自身の声を聞いてあげるということに他ならないのではないでしょうか?

 

たまには、自分と対話をしてみる時間をとることも、僕は大切だと思います。

 

みなさんも、ぜひ、普段聞くことのない「あなた自身の声」を聞いてあげてみて下さい。